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2020.06.01

減らす勇気

様々な業種で人手不足が生じています。
「経営者が思う将来の経営不安の第一位は、人手不足」というアンケート結果もでています。人口減少で全体としてのパイが減り需要減が生じるより先に、供給する側の人手が不足しているのだと思います。モノを生産する製造業などは人手不足を補うために、今後益々生産効率を高めていくことが必須となってくるでしょう。



《減らす》


飲食チェーンの間で、商品メニューを減らす動きが広がってきました。イオンの子会社で弁当や総菜を販売しているオリジン東秀株式会社は、弁当の種類を1年前から3割減らしました。リンガーハットは8月から注文が少なかった商品メニューを20種類廃止しています。商品の生産種類を減らし、アルバイトや外国人従業員でも働きやすいよう作業内容も見直しています。人手不足による問題を業務の自動化などでは対応しきれず、商品種類の削減にまで踏み込んでいったのです。


商品数を減らす目的は人手不足への対応と生産効率を高める目的でしたが、副次的効果が生まれています。売上や利益の上昇です。いずれも店舗では顧客の回転率が向上し、作り置きの総菜などを用意する余裕が生まれ、客単価は上がり、売上高も上昇しはじめたとのこと。商品の多さによる無駄を省き、提供スピードをあげられれば、顧客の待ち時間も少なくなります。効率化のための商品の削減と集中は、副次的効果を生んだのです。


ハウステンボスの経営を引き受けたHIS澤田社長は、商圏人口と比較しあまりにも広大であったハウステンボスの敷地をいくつかのゾーンに分割し、営業する面積を狭めました。そうすることで従業員も従来よりも狭い範囲で効率的に業務を行うことができ、来場者も広い敷地に分散せずに済むので賑わい感を演出することができました。長年の赤字経営から黒字に転換することができた大きな要因といわれています。



《勇気》


「商品の種類を減らすと売上が減ってしまう。」「商圏を狭めると売上が減ってしまう。」「客層を絞ると売上が減ってしまう。」殆どの経営者はこのように話します。しかし、現実はそうでもありません。何かを減らすことによって、生まれるものがあります。売上が増加したり、生産効率が高まったり、固定費が削減できたり、時間的余裕が生まれたり、商品の質が上昇したり。右肩上がりの経済環境では、量を増やし続けることで企業は成長してきました。しかし、これから量を増やし続けるという発想は限界に達すると思われます。


「念のためにこれも取り扱っておこう」「とりあえずこの機能もつけておこう」「一応この商品もつくっておこう」。これらは、経営者若しくは自社商品の自信のなさの表れです。多ければ安心という発想です。量を増やすことの弊害にも着目しなければなりません。量を増やすことは質の個性が希釈します。自社の経営資源も分散します。何よりも競争相手が多くなります。勇気をもって、「やることではなく、やらないことを決める」「何をするかではなく、何をしないか」が孫子の兵法やランチェスター経営の神髄です。減らすことは上記のように副次的な効果を生み出す一面もあるのです。


「企業体の中にあって何をやめるべきかが、非常に大切なことである。新しいよい分野に展開する秘訣は、必ず捨てなければならない分野のものを捨てることであろう。資力に限度がありスペースに限度があり特に能力のある人に限度があることを知らなければならない」(ソニー創業者 井深大)」 



参考/「引き算する勇気(岩崎邦彦) 日本経済新聞出版社」




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